”多聞言葉”シリーズ(鉄板‐45)
現状打破
従事者研修会(ZSKで全国各地域年一)で、発表担当者から“現状打破”というテーマで発表があり、その内容についてディスカッションを行った。
「人類の歴史において、変革のための最初の組織が企業だった。・・・意図した変化としてのイノベーションだけが富を生む」(P・F・ドラッカー)
それまでは、あらゆる人間集団と組織は、継続のためのもの。いまでも、変革のための組織は企業だけだという。ゆえに、企業はつねに“現状打破”を試み、イノベーションを行うことによって、新たな社会的価値の創造(富)に貢献し続けることを旨とすべきだと考える。
ここで一つ問題が生じる。ドラッカーも指摘しているが、「企業もまた、他の組織と同じように人から成る」ということである。そして、人間は習慣の動物であり、継続を必要とするからだ。そこで、「変革と継続のバランスが、マネジメントにとって変わることのない課題となる」という。
さて、“現状打破”という課題について考えよう・・・。
組織を構成するメンバーは、人である。そして、人は安定と継続を求めたがる。「今でも十分食えているではないか・・・。何も、自ら変化というリスクを背負うようなことをあえてしなくても・・・」 そんな無言の抵抗を感じたとき、どうしたらよいのか・・・。
「人はパンのみに生きるにあらず」という言葉がある。つまり、「目的・理想のために生きる。そして、生きるために食べる」のである。この目的・理想のために生きるというエネルギーこそが、“現状打破”への原動力となるのだ。
「明日は必ず来る。そして明日は今日と違う」(ドラッカー)。現状維持はあり得ないのである。目的・理想を掲げ、つねに未来への働きかけを行っていなければ、どんな企業でも淘汰されてしまうのが、パラダイムシフトが起きている21世紀時代の特徴だといえよう。
“現状打破”の精神を培うには、大局観が必要だ。それは、目的思考であり、全体思考であり、関係性思考である。
自らが帰属する業種や産業というレベルの発想ではなく、社会システム(全体)における自社(部分)の役割という発想に立つと、現状に捉われない未来のあるべき姿が見えてきそうな気がする。
「変化をマネジメントする最善の方法は、自ら変化をつくりだすことである」(ドラッカー)という名言がある。
“現状打破”という自らの意思による変革こそ、継続のエネルギーである。
(H28.12.19)