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”多聞言葉”シリーズ(コハ‐27)

質問力

 どんな仕事でも、他人に助言する立場にいる人であれば、“質問力”を磨く必要性があると感じている。

 探偵という職業のベースである調査という専門領域は、どちらかというと解答力が問われる職業である。なぜなら、すべての解答が事実認定により、その事実に解答がある。その解答を迅速かつ正確に探すことができるのが優れた探偵だからである。だからこそ、解答力を磨くのに労を惜しまなかった・・・。

 “質問力”を磨く必要性を感じ始めたのは、もう15年ほど前に中小企業の経営計画を策定するお手伝いを本格的に始めたときからである。

 熱心に時間をかけて策定したはずの経営計画が画餅になってしまう。なぜだろう?

そんな疑問に対して、考えた挙句、頭に浮かんだのが“質問力”であった。

 探偵事務所主導でやってしまうと、どうしても過去のデータを分析し、予測をやってしまう・・・。これが失敗の原因だと気づく。なぜなら、その経営計画には、経営主体である社長の想いが反映されてなかったのである。

 「どんな会社にしたいのか?そのために何をなすべきなのか?」 社長に寄り添い、社長の想いを引き出せるような良い質問を投げかけることもせず、数字合わせをやってしまった・・・。これではノルマに過ぎず、その気になれるはずなかったのである。

 ここでいう“質問力”とは、相手の考えや想いそして行動を引き出す力と考えていいだろう。これができるようになると、経営計画の質はグッと良くなることは請け合いである。経営計画を策定する目的は、なすべきこと、つまり目標を明確にして、その気になってもらうことである。

 “質問力”を高めると、次のような効果が生まれる。

1/      相手の考えや想いを確認できる。

2/
   相手に気づきを与えることができる。

3/
   相手のモチベーションを高めることができる。

 経営計画の要諦は、一言でいうと、目標設定の良否に尽きるといっても過言ではない。しかし、目標は他人から与えられるものではなく、自らの意思で決めなければならない。なぜなら、人間は自分で決めないかぎり、その気になれないからである。

 “質問力”は、人間関係の基本のような気がする。相手に関心を持って、相手の話をよく聴く。そして、自然と出てくる相手への質問が相手の気づきやその気を引き出してくれる。当然ながら、お互いに感謝の気持ちが生じる。

 “質問力”で関係性が良くなると、人間は生産的になれる。

(H27.7.20)