多聞会

多聞言葉”シリーズ(コハ‐02)

理念経営

 

 成熟化した市場の中で、多くの経営者が厳しい経営の舵取りを迫られている。そんな中、“理念経営”の重要性が盛んにいわれているが、その一方で「理想で、飯は食えない・・・」という声も耳にする。

 経営者にとって優先すべきなのは、「理念」なのか?「利益」なのか? よく耳にする議論なのだが、結論からいうと「目的」と「手段」の違いという視点から考えてみると、自ずと解が見えてくるのではなかろうか。

 さて今、多くの企業が抱えている課題として、市場のコモディティ化がある。つまり、商品などの機能や品質の均質化が蔓延し、他社との差別化ができないのである。これが価格競争を招き、デフレの要因となっており、企業にとっては利益を出せない体質となっているのだ。

 このように考えると、個性の喪失こそが、企業体質を弱体化させている真の原因である。そして、そのことが、“理念経営”が注目される背景でもある。

 “理念”とは、組織が存在する理由を示すもので、自らの組織の社会的機能や役割を語るときの拠りどころとなるものでなければならない。「何のために事業をしているのか、どんな組織を目指したいのか、どんな価値を創造したいのか・・・」を描けるようなものでないといけない。

 人間は個人の限界を超えるために組織をつくる。組織の本質は協働である。その協働のベースに“経営理念”が確立されている必要がある。なぜならば、組織の成立条件である?目的の共有(ベクトルの一致)、?貢献意欲(動機づけ)、?コミュニケーション(場の価値観の共有)の拠りどころとなるからである。

 企業の独自性は、自らが渇望し、信じた“理念”から生まれる。その独自性が企業の付加価値(=利益)の源泉であるとしたら、“理念”なき経営に真の利益は在り得ない事となる。

 今や、能力とやる気だけで利益を稼げる時代ではない。“理念”が企業の独自性を引き出し、その独自性の結果として、利益が生み出される時代なのだ。

 “理念経営”こそが、利益の源泉であり、利益の活かし方を教えてくれるである。

(H27.1.19)