”多聞言葉”シリーズ(探喫21‐26)https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/
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“シェア”という言葉をよく見聞きする。良好な人間関係を維持するための基本となる概念の一つであろう。
以前にも紹介したが、『未来を共創する絵画チームをつくる』(中田伸吾 著)の中に次のような一節がある。
“社会貢献度の高い団体”を牽引しているトップのイメージとして、
「私の頭の中では、カリスマ的な牽引力のある力強いリーダーを想像しています。ですが、最近とみに、その想像が外れます。社会貢献度の高い団体のトップは、あまりぎらぎらした雰囲気を持っておらず、どちらかというと、穏やかな空気を身にまとった方が多いと感じます」と・・・。全く、同感だ。
ある書物によると、「人との関わり方」ついては、大きく次の3つのタイプに分類できるのだという。
- ギバー(与える人)・・・自己犠牲を払っても他人に対し惜しみなく与える人(見返りを求めない)
- テイカー(受け取る人)・・・自分が与えるのではなく、まずは自分が受け取ることを優先する人(受け取る目的を達成するために与える)
- マッチャー・・・与えることと受け取ることのどちらを優先するのではなく、損得のバランスを取ろうとする人。(人間関係の損得は五分五分であるべきと考えバランスを取る)
そして、以上3つのタイプの中で最も成功する確率が高いタイプは①のギバー(与える人)であるという。その理由は、ギバーが蓄積する“感謝貯金”にあるという。
そこで、組織における“シェア”の精神について考えてみたい。
ここでいう“シェア”とは、「自分が持っているものを分け与えること」をいう。
自分が持っている情報、ノウハウ、経験・・・。これらを、いかに惜しみなく与え、“シェア”できるか。
イメージしてみよう。強烈な“シェア”の精神を持ったギバーが集う組織とはどんな組織であろうか?
組織を構成するメンバー一人ひとりが、「自分が取る」ではなく、「他の人や組織に与える」という精神が組織の共通の価値観となるであろう。
何か刺激的な、良い体験をしたときには、それらを「“シェア”したい」「組織のメンバーと共有したい」と、メンバーの顔を思い浮かべる日々が多いことであろう。
コロナ禍という環境のときこそ、“シェア”の精神を培うチャンスではないだろうか・・・。
(R3.7.5)
”多聞言葉”シリーズ(探喫21‐27)
SDGs
“SDGs”(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals」という英語の頭文字を取った略称である。「持続可能な開発目標」と訳されている。
“SDGs”は、2015年9月25日の第70回国連総会で採決された、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の中にある。日本語では、外務省のホームページに掲載されている。
“SDGs”が採択されてから5~6年経つのだが、コロナが蔓延したせいもあるのだろうか、“SDGs”に関心を持ち始め、研究している企業が増えているという。小生もその一人であるが・・・。
アフターコロナ後、「時代環境はどう変わるのか?」「その結果、企業はどのような経営課題と向き合うことになるか?」などと、経営計画を策定するにあたっての要件を考えているうちに、“SDGs”の中にこそ、企業が取り組むべき課題、その答えがあるのではないかと確信したからだ。
“SDG”は、持続な可能な世界のための「17の目標(ゴール)と169のターゲット」(外務省のホームページ参照のこと)からなっている。
17の目標には、「こういうふうに行動し、こんな状態になりたい」という内容が書かれており、未来像を描いているという意味で、「ビジョン」である。そして、それを実現するために、具体的にどうしたらよいかという「行動目標」が169のターゲットだと考えてよいだろう。
では、多くの経営者が“SDGs”に関心を示す理由は何だろうか?次の3つの魅力を感じているからであろう。
- 新事業開発や既存事業の拡大につながりそうだ。(利益の原動力)
- 新たな人材獲得のための武器になりそうだ。(若い世代の関心)
- コミュニケーションツールとして有効だ。(国際的な共通目標、「御旗」の効果)
このように、企業の成長戦略を描くときに大変参考になるのだが、カギとなる考え方
は「持続可能性(サステナビリティ)」であると考える。
故に、“SDGs”に取り組もうとするとき、「自社の持続可能性を支える強みとは何か?」を、まず検討してみる必要がある。
そしてその上で、「17の目標と169のターゲット」の中から、自社の強みを活かせるテーマを抽出するとよいだろう。つまり、あれもこれもではなく、「やること」と「やらないこと」をしっかりと検討し、選択することが大切だと思う。
私たち人類が「共有すべき未来」のためにも、“SDGs”に深く関心を持ちたいと思う。
(R3.7.12)