読書をしていると、いつも心惹かれる言葉に出逢う。
毎年そうであるが、年の瀬が迫ってくると、今年一年を検証する日々が続く。一年間を総括しているつもりでも、過ぎ去った栄光は過去のものとなってしまい、気がつくと、今抱えている問題にばかり意識がいってしまうことが多い。つねに紙こより画と向き合っている創始者の性だろうか・・・。
そんなとき、書棚にある本を手に取り、気分転換をはかる。
何気に手にした書物、『心が雄大になる中国の名言』(リベラル社)の中で、次のような一文と出逢った。
「吾が“浩然の気”を養う」(孟子『孟子』)。
“浩然の気”とは、「天地にみなぎるような大きく広い気のこと。何事にも動じず、寛容であり、ゆったりとした心持ち」をいう。
「広く豊かで、のびのびとした心持ち」、どうしたらそんな心持ちになれるのだろうか?
「それはまっすぐな気持ちで、正直に生きること。そうすれば、やましい気持ちや後ろめたさがなくなり、穏やかでのびのびとした心境でいられる」という。
“浩然の気”を持つためには、まっすぐな気持ちで、正直、素直であること。「成程と合点がいく示唆」である。
一年間を顧みる手順はこうだ・・・。
- まず、一年間で、具体的にどんな事実があったのかを確認する
- その中で、最大の成果・問題は何であったか。
- それらの事実が生じた因果関係は明白になっているか。
- その中で、最大の原因は何であったか。
- 検証の結果は、きちんとフードバックできているのだろうか。
これら検証の手順は、「紙こよりの会」の中で常套的な手段として行っているものである。
今回、“浩然の気”という言葉に心が惹かれたのは、最良の検証手順は分かっていても心構えができていなければ、枝葉末節的なことに気が奪われ、思ったほどの成果が生まれないということに気づかせてもらったからだ。
この本は、5年ほど前に購入し、読んでいたものである。その当時、いろんな個所に線を引き、メモをしていたのであるが、“浩然の気”の個所はスルーな状態であった。
“浩然の気”、過去を検証し、未来へつなぐ絶好のタイミングでの出逢いである。
(R元.12.23龍鳳)