言霊
『100歳まで読書』(轡田隆史 著)というタイトルに惹かれ、思わず買ってしまったのだが、なかなか面白かった。
著者は、冒頭にいう。『なぜ「100歳まで本を読む」のか?カンタンにいうなら、ちゃんと死にたいからだ』と・・・。「ちゃんと死ぬ」ということは、「死ぬ間際まで、自分で納得できる生き様でありたい」ということであろう。
「最後まで、考えて生き抜く・・・」、 そのためには知的センスを磨き続ける必要があるのだが、『本は最期まで、人生のよき相談相手になってくれる』のだという。つまり、『「死ぬまで本を読む」ということは、「死ぬまで質問し続ける」ということに等しい』のだと述べている。
この行は、全く同感である。小生も、読書の効用の一つは知的センスが磨かれ、思考力が高まることだと実感している。「なぜ?」の解を求めて本を読み、本を読んでいると必ずといってよいほど、「なぜ?」を問われる場面に出くわすこととなる。まさに、読書は「思考の訓練」に最適な手段だといえよう。
さて、今回の読書でもっとも関心をもったのは、“言霊”についての行である。
著者である轡田隆史氏は、「書店は“言霊”の宝庫である」と述べ、「書店に入った瞬間、人は文字、特に漢字の発する“霊気”に打たれるのだ」という。
“言霊”とは、言葉に宿る神秘的な力(霊力)のことで、その言葉の内容を実現する力があると古来、信じられてきたのだという。
小生も小さい頃に、母親から「言葉は、大事にしなさい。言葉はぜんぶ自分に戻ってくるからね・・・」と教わったことがある。のちに、「“言霊”のことを言っていたのか」と気づかされた思い出がある。そして、読書の大切さをいろんな人から教えて頂いたことが走馬灯のように蘇ってくる・・・。
紙こより絵の実演なども含め、人前で話す機会が多いこの頃であるが、聞いている人の顔の表情などをみていると、確かに心に響く言葉があると感じる。きっと、“言霊”が
機能しているときなのだろうと思う。
著者は続けていう・・・。親は命名するとき、子供に縁起のいい、ハッピーな名前をつけようと努力する。それなのに、悲劇が生じるのはなぜか?
“言霊”は、その言葉(名前)にふさわしい努力を注がなければ、機能してくれないらしい。努力目標を授けてもらったと感謝し、それらしく生きる決意をする必要がある。いわゆる「名前負け、するな!」ということだろう。
“言霊”(言葉の持つ霊力)を信じ、使う言葉に負けない努力をしたいと思う。