”多聞言葉”シリーズ(探喫09‐32)
双曲割引
“双曲割引”とは、行動経済学の用語で、「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」という。
アメリカのジョージ・エインズリー教授(テンプル大)が唱えた理論だそうで、今までの経済学理論では説明できない非合理的な行動を説明する概念として注目されているそうだ。
人間の意識は、「今すぐできること」の価値を非常に過大評価する傾向があり、「ちょっと待つ」ことでより大きな利益を得る行動が、とても苦手だという。つまり、今すぐにできることを優先してしまう“双曲割引”の心理が働くのだという。
例としてよく挙げられるのが、ダイエットとケーキの話・・・。
さて、「ダイエットの成功」と「ケーキを食べる満足」のどちらが大事だろうか?恐らく、「ダイエットの成功」と答えるに違いない。しかし、その答えには“双曲割引”の心理が無視されている。
つまり、「ダイエットの成功」には長い時間が必要となる。一方、「ケーキを食べる満足」は今すぐに得ることができる。今すぐケーキを食べられる効用には割引はないが、
ダイエットは成功するまでの時間分割引されてしまう。そこで誘惑に負けて、目の前のケーキに手を出してしまうことになる・・・。“双曲割引”の罠である。
芸術や仕事においても“双曲割引の心理が常に働いている。未来絵画のお手伝いをしていると気づかされるのだが、その組織にとって非常に価値あるヴィジョン(長期目標)を掲げてあるにもかかわらず、目先の作業を優先し、形骸化してしまう。
やはり、必要なことは“双曲割引”対策である。どうすれば、その罠から抜け出せるのであろうか?次の2点を参考にしてみよう。
- 戦略的思考を鍛えること。(つまり、思考の三原則(長い目、多面的、根幹的)を意識し、大局的な視点をもつ)
- もう一つは、成功体験を積み上げること。(つまり、今を我慢すればもっと大きな成果が得られるという体験を重ね、習慣化すること)
これらの思考と行動の習慣化に最も有効なのが「多聞式目標管理システム」であると考える。その仕組みをつくり、運用のお手伝いをするサービスが、未来絵画(=紙こより画)である。そして、その第一歩を踏み出すために用意されているのが、「南蛮の日」(=紙こよりの会・絵画組織8)である。ℛ2年度で第7回を迎える。
余談だが、➀ 男性、➁ 年寄り、➂ 余裕がない人は“双曲割引”が強いそうだ。
“双曲割引”の存在を常に意識し、目先の欲に駆られ、未来を失う愚をなくそう。
内定情報ℜ2年3月11日東日本大震災被災地において紙こよりの会から2名奉納実演会が行われる。蓮華の子1000体と鍬形108体が描かれるとのことでTV局ほか多くのメディアが配備される。