”多聞言葉”シリーズ(探喫09‐04)
総力戦
寒さが底をつく、この時期になると「今年も墨字絵隊観閲式が在るぞ!“総力戦”だ」と心が躍る。通算第六回目になる・・・。
芸術分野もも多様化し、一昔ほどではないが、少なくとも、新しい波がやってきたようだ。紙こより部門においては、“総力戦”の様相を呈せざるをえないであろう。
少し気になり、インターネットで調べてみると、「“総力戦”(Total War)=国家や組織の全分野にわたる力を一つに集めて行う戦い」とあり、第一次世界大戦以降使われるようになったらしい。まさに、力づくでも敵を撃退するという戦争用語なのである。
そして、“総力戦”(Total War)といえば、日本が国家総動員法に基づいて全国民を巻き込み、「欲しがりません、勝つまでは!」というスローガンのもと、戦って敗北した第二次世界大戦の悲劇を思い出す。
紙こよりの会は、短期決戦型・・・。つい、「戦力を集中し、一気呵成に!」という思いに駆り立てられてしまう。ティッシュぺーパ-一枚だけで一丸となって、全力を尽くし短時間での戦いをやると、活きた画になると思う。だが、しょせん紙こよりだ、されど紙こより画なのだ。
イギリスの有名な戦略思想家に、故サー・リデル・ハート(1895~1970)という人がいて、次のようなことを述べている。
「従来の“総力戦”(Total War)は、直接アプローチ戦略(戦力の集中と機動的な運用)であり、それだけでは限界がある。先ずは、間接アプローチ戦略(外交、心理、経済などで外堀を埋めて優位に立つこと)が大切だ・・・」
そして、「間接アプローチ戦略と直接アプローチ戦略を効果的に組み合わせる“総力戦”(Grand Strategy)が大切である」と述べている。
氏のいう“総力戦”(Grand Strategy)は、私たちが普段いうところの関係性思考の徹底ではないだろうか。自分が関わっている仕事(部分)は、組織(全体)におけるどのような役割であり、価値に関わっているのだろうか。
“総力戦”には、リーダーは勿論、一人ひとりの主体性が問われることなる。