”多聞言葉”シリーズ(探喫08‐13)
ミーティング
C.バーナード(1886~1961年)は、「組織とは協働行為の体系である」と定義付けし、その成立の3条件として、① 目的の共有、② 貢献意欲、③ コミュニケーションを掲げた。
この考え方は、組織をマネジメントする立場にいる人間だけでなく、組織人として生きている現代人のすべてが、しっかりと学んでおくべき原理原則の一つではないかと考える。
今、日本の企業(=組織)の生産性の低さが問題となっている。この問題に触れる度に、P・ドラッカーの次の言葉を思い出す。
「人間関係の能力をもつことによって、良い人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献を重視することによって、よい人間関係がもてる。こうして人間関係が生産的となる。生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である」(『経営者の条件』)。つまり、生産的でないということは、人間関係においても問題が生じているのではないかと・・・。
さて、社内でのコミュニケーションを円滑にする手段として“ミーティング”がある。“ミーティング”に関しては、一長一短の様々な意見があるようだが、その存在の当否を争うのではなく、いかにあるべきかという内容の問題を議論すべきである。
“ミーティング”を行う目的とは何か?基本的に2種類の“ミーティング”がある。
ひとつは、「進捗管理のための“ミーティング”」である。各部署や個人が掲げた組織への貢献目標がどの程度進んでいるかを確認するためのもので、定期的に行われる必要がある。
マネジャーはその状況に応じて、適切な指導や情報の提供を具体的に行い、フォローをしなければならない。多聞会では、東郷式目標管理の手段として、朝礼、週末の部門会議、月末の全体会議などを定期化し、実施している。
もうひとつは、「目的共有のためのミーティング」である。協働行為の体系である組織の存在そのものに関わるような内容について、組織全体で共有すべきときに、随時開催されるものである。
かつて、京セラの稲盛和夫氏は、コンペと称して酒を酌み交わしながら、自らの経営哲学を語り、京セラで働くことの意味と価値を熱く語ったそうであるが、それも「目的共有のためのミーティング」の機会だったのだと思う。
確かに、“ミーティング”は多くの人の時間を拘束する。しかし、コミュニケーションの大事な時間であり、手法である。つねに運営の在り方を創意工夫すべきであろう。
”多聞言葉”シリーズ(探喫08‐12)
視点
“視点”とは、物事を見たり、考えたりするときの目のつけどころや観点をいう(類語大辞典)。
よく、「“視点”を変えて考える」とか「相手の“視点”に立つ」などという使い方をすることがあるが、仕事に限らず、人生においても、極めて重要なことだと心得ている。“視点”という言葉には、次の二つの意味で用いられているようだ。
① どこを見ているかという、注視点のこと。
② どこから見ているのかという、立脚点のこと。
いつの時代においてもなくならない「嫁姑問題」を例に少し考えてみよう。
昔の嫁姑問題は、嫁いできた嫁が夫の両親のところで同居して、姑から嫁の分際を弁えていないと“視点”(=立脚点)から、自分の嫁いできた時の苦労話を聞かせながら、「苦労が足りない!」と虐められるケースだ。
今の嫁姑問題は、同居していないのに、息子可愛さに、嫁の妻としての至らなさの視点(=注視点)から始まり、嫁の両親の悪口まで言い出すという。息子(嫁の夫)に聞くと不自由を感じていないはずなのに、ホントは嫁の態度が気に入らないのだ。離婚騒動にまで発展するというから恐ろしい・・・。
結婚というのは、元来、育った環境(土壌)が違う二人が出逢い、結ばれて、新しい家庭を築く営みだから、お互いの価値観を共有し合い、統合されていくのに時間がかかるのが当たり前・・・。
お互いが、相手の立場に立って、相手の尊敬できるところに“視点”を置くことを心掛けなければ、いい関係性ができるはずがないと思う。それこそ、“視点”を間違えないようにしないといけない。
さて、仕事においても、“視点”の置き方は成果に大きな影響を及ぼす大切なテーマである。
一生懸命に仕事に精を出しながらも、大きな成果を挙げる人とそうでない人がいる。
その原因の多くは、“視点”にあると考える。
① 自分の仕事に対する努力の方向性は、協力し合う相手の“視点”と合っているのだろうか。
② その仕事の目的という“視点”から思考し、行動しているのであろうか。
③ つねに、全体と部分との関係性という“視点”から見直し、独りよがりにならないように配慮しているだろうか。
そして、現在と未来とのバランス思考の“視点”も心得たいと考える。
14日紙こより画会参加の皆様及び関係各位そして勝福寺ご住職に感謝。
(H30.4.16)
坂道のアポロン
3階1番でレッスン
4・17