”多聞言葉”シリーズ(探喫‐17B)
大局観
「忙」とは「心を亡くす」と書く。目先の事に追われ、日々をバタバタと忙しくしている人の特徴は、一つに“大局観”の欠如である。つまり、本来の目的(根本)を見失って、枝葉末節的なことに振り回されていることが多い。
企業の掲げる理念やビジョンこそが、その組織の存在に意義であり、「何のために」という目的を考えるときの原点である。また、経営者にとって大切な“大局観”は、それをベースに培われるものだと考える。
“大局観”というと、安岡正篤氏の思考の三原則を思い出す。
第一は、目先にとらわれず、“長い目”で見る。
第二は、物事の一面だけを見ないで、“多面的・全面的”に観察する。
第三は、枝葉末節にこだわることなく、“根本的”に考察する。
経営者など上に立つ人にとって、これは心得ておくべき大切な考え方だと思う。
これらは、「わが社をどんな会社にしたいのか(理念・目的・ビジョン)、社会にどう役立ちたいのか(使命観)、日々の経営判断において大切にしている物差しは何か(価値観)」等々、ものの考え方のベースとなる。
市場のコモディティ化が叫ばれている今日において、企業の独自性を発揮させる唯一の手段は、理念経営の確立だと言われている。確かに、同感である、「理念のもつ効用とは何か?また、理念を浸透させるために何をなすべきか?」先ず、後継者にとって必要なことは、自社の掲げる理念という大義(錦の御旗)に対し、熱意と信念を持ち得ているかどうかである。
そして、“大局観”を持って、その実現のための方向性を指し示し、周囲を奮い立たせるようなリーダーシップとコミュニケーションを自家薬籠中の物にすることである。
(H28.5.23)