fileⅡ
探喫8はフレンチレストランも併設している。
【ら・ゆいっと】ではランチタイムもそろそろ終わろうかというう時間帯である。
小鴨は、もう最後の一羽だから失敗すると作り直しができない。キッチンからホ-ㇽの様子をうかがう。オ-ドブルは食べ終えているようだからメインを運んでも大丈夫だ。未菜が小鴨の皿を運ぶと彼は嬉しそうな笑顔になった。その顔を見てはっとした。記憶の中の男と男性客の顔が重なる。記憶の中の男は男性客よりも30キロは痩せている。僕はシェフ帽を脱いでホ-ㇽに出た。「宇垣?」「へ?」フォークとナイフを手に顔を上げた男の目が丸くなる。「源田・・・?」宇垣時郎とはフランスの料理学校で一緒だった。日本でも知られている学校だから同じクラスに8人くらい日本人がいた。どちらかというと宇垣が授業でわからないことを僕に質問することが多かった。上級クラスには進まず中級クラスを終えたところで帰国したはずだ。
「え、、ここ、お前の店なの?」宇垣は改めて店内を見回した。「そうだ。半年前ぐらいからここを任されている。」「サン・マルはどうしたんだ?」ウっと言葉に詰まる。サン・マルは僕が神戸でやっていたレストランで3年持たずに潰れた。
「あすこはもう閉めたんだ」潰れたと言いたくないのはせめてもの見栄だ..そこまで話して宇垣がまだ小鴨に手を付けていないことに気づいた。「ああ、ごめん邪魔したな。ゆっくり食べてくれ。」そう言うと宇垣は改めてカトラリ-を手に取った。
幸い他のお客様はすべて帰られた後に。「いやあ、うまいよ。さすが源田だな。」
「ありがとう。」素直に礼を言って彼の向かいに腰を下ろす。「宇垣は今何しているんだ?」「俺も今、レストランやってるんだ。」「へえ、なんて店、今度行くよ。」「大阪なんだけどピア-ノ・ジロ-という名前で、、」店名を聞いて驚く!行ったことはないが予約がなかなか取れないという話を聞いたことがある。「ピア-ノ・ジロ-で働いている…?」「働いているといううか俺の店なんだ。」「つまりオ-ナ-シェフ?」宇垣は大きく頷いた。僕はぽかんと口を開けた。衝撃が大きすぎて受け止めきれない。つまり宇垣はシェフとして大成功を収めているということだ。僕がレストランを潰して迷走している間に一足飛びに手の届かないところに到達している。そういえば宇垣の名前はジロ-だった。「今日は定休日?」そう尋ねると宇垣は身を乗り出した。「ああ。うちの常連客が、ここで食べた小鴨がうまかったと言うからちょっと勉強させてもらおうと思ってね。」
”多聞言葉”シリーズ(探喫21‐25)
経営戦略
「戦略性が問われる時代」だという。「ウィズコロナ」を生き抜き、「アフターコロナ」を生き延びるために、その方向性を見極めるための“経営戦略”をどう描くか、問われているのである。
今回は、その“経営戦略”について考えてみたい。
今や中小企業といえども、多角化展開をしているところが増えてきている。「アフターコロナ」の時代においては、その傾向がもっと高まっていくことであろう。その関係もあって、“経営戦略”は大きく次の二つに分けて考え、つくるべきであるという。
- 全社戦略(Corporate‐Level Strategy)
- 個別事業戦略(Business‐Level Strategy)
ここでは先ず、(1)の全社戦略を重点的に考えてみよう。
全社戦略(コーポレート・ストラテジー)とは、全社的視点で考える戦略であり、トップマネジメントである社長が中心となって取り組むべき戦略である。その取り組むべき内容として、次のような事が考えられる。
- 全社としての事業ドメインの設定とマネジメント
- 全社ビジョンの作成と徹底
- 全社組織の設計と運営
- 全社ガバナンスの仕組みの構築と実行
- 全社人材マネジメント
- 株主マネジメントと企業価値の向上
- 事業ポートフォリオ・マネジメント、事業間の資源再配分、事業間のシナジー・マネジメント
以上である。各項目共一つひとつ、踏み込んで検討すべき内容であるが、今回は全社戦略の骨子として紹介するに留めて置きたい。
さて、もう一つ(2)の個別事業戦略についても少し触れておきたい。
個別事業戦略を考える場合、次の4つのポイントに関して検討することになる。
- 「顧客は誰か」(対象顧客の絞り込み)
- 「提供価値は何か」(主要顧客に対してどのような価値を提供するのか)
- 「競合は誰か」(競合他社を知ること)
- 「自社の強みは何か」(競合他社に比べて、どのような優位性を構築するか)
“経営戦略”は、全社戦略と個別事業戦略の違いを十分に認識した上で、相互のバランスを考慮しつつ、実行可能性を追求していかなければならないと思う。
(R3.6.29)
pipipipipi長谷川栄氏20G美術顧問に就任されました。中田伸吾先生ポ-ルフロ-ト氏に絶賛されました。今後の紙こよりが画の発展が楽しみです。