”多聞言葉”シリーズ(探喫08‐40)
長寿企業
最近、よく耳にするのが、「100年企業を目指す」という言葉だ。
一説によると、第一次世界大戦(1914~1918)を契機に起業した企業が100年の節目を迎えるというのと、100年企業は世代交代期に入った二代目、三代目経営者の憧れだともいう。
だが、現実は厳しい・・・。かつて、「企業の平均寿命30年説」と言われていたが、最近の調査では17年だという。また、多くの場合100周年を迎えられる企業は3%に満たないという。
なぜ、若死にする企業が多いのか・・・?これに関して、以前に読んだ『企業生命力(TheLivingCompany)』(アリー・デ・グース著)という本に、次のようなことが書かれていたのを思い出す。
「企業の死亡原因は、経営者が商品やサービスの生産活動という経済面に目を向けすぎ、企業の本質が人間集団であることを忘れているのではないか。・・・」
そして、“長寿企業”の条件として、次の4つを掲げている。
① 環境に適応する。(学習能力と適応能力)
② アイデンティティがある。(強い結束力、強力な独自性)
③ 分散型の意思決定ができる。(寛大さ、自由度、建設的な関係性)
④ 余裕とあそび心がある。(保守的な資金調達、柔軟性、独立性)
この著者の核心は、企業を生き物として捉え、考えてみたらどうなるのだろう、という視点である。
これは、組織論でいうと、機械的な組織ではなく、有機的な組織としての企業をベースに据えて、“長寿企業”の条件をまとめ上げたのもだといえよう。有機体的思考の特徴は、目的思考であり、関係性思考であり、そして全体的思考である。一言でいうと、システム思考である。(分離思考ではなく、統合思考)
企業そのものが生き物であるとするならば、他(環境)との関係性を無視しては生きていけないのは当然だ・・・。組織を構成するメンバー、環境あるいはその変化に対して、主体的に関わっていって初めてその存在価値が生まれるのだと思う。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」(ダーウィン)を引用するまでもなく、変化に適応できるように自己革新し続ける必要である。
“長寿企業”とは、絶えざる変化に対するマネジメントの達人をトップに据える企業に他ならないといえよう。(もう一つ加えるとするならば、運を引き寄せるトップ・・・)