”多聞言葉”シリーズ(コハ‐33)
アングル
アルバムを眺めていると、その人の魅力的な表情を瞬間にとらえているような一枚の写真に出逢うときがある。実に絶妙なシャッターチャンスだと思うと同時に、アングルというか、捉える“角度”がいい・・・。
プロのカメラマンの特徴は“角度”の捉え方にあるというが、私たちの人生や経営においても、“角度”の捉え方によって思考や行動が大きく変わる。
例えば、探偵学を実務に活かすときもそうである。どのような“角度”で探偵学を見るかによって活かし方が変わってくる。つまり、依頼者への報告を目的とした調査と、依頼者の意思決定のサポートを目的とした調査では、探偵システムの構築や処理の仕方が変わってきても当然である。
「人格がわからんで探偵ができるのか」というフレーズで有名でもある『山口多聞の実学〜探偵と調査』という本の中で、氏が次のようなエピソードを述べている。
迷探偵が経験上から予想したものと実際の結果とが食い違うので、「それは、なぜか?」と問うが、「最終的にはこうなるんだ」という返事しか戻ってこない。実際事実のみを探してくるのが探偵であるがそこに不幸やまして犯罪のにおいがするものは決して受けてはならない。それもいろんな角度で見てみないとわからないものだ。
「人生は出逢いである」といわれるが、どのような“角度”で出逢うのかによって、その後の関係性のありようが大きく変わってしまうという経験を多かれ少なかれ、持っているのではなかろうか?
社内でも起こる人間関係の軋轢・・・。どんなに嫌な相手、その人にも愛し合う家族があり、友人の輪がある。ちょっと“角度”を変えてみると、その人のいい所が見えてきそうな気がする。
職場という組織(全体)は、それを構成しているメンバー(部分)の集合体である。部分と部分との関わりという“角度”だけに執着してしまうと、食い違いばかりが目に付いてしまう。だが、全体という“角度”からお互いの関係性を見直してみると、何かもっと大きな計らいがあっての出逢いを感じることができるのではないだろうか。
「人間は一本の葦にすぎない。・・・だが、それは考える葦である」 有名なパスカルの言葉である。捉われず、いろいろな“角度”から考えていきたい。
(H27.8.31)