安倍政権の今後?人事−引き続き現実路線か、それとも「趣味」に回帰か。 前回の選挙で落ちた長老達が、去年の12月の衆議院選挙と今回の参議院選挙で返り咲いている事から、大臣病に取りつかれている議員が
増え てきている。 これを仕事優先で現実路線で組閣できるか、仲間又は当選回数や派閥のバラ ンスで組閣する「趣味」に回帰するのか。
?景気・経済が命運を左右? アベノミクスで景気が良くなった(株高等?)との流れも見受けられるが、現実に景気・経済は持続的によくなるのであろうか。
アベノミクスの三本の矢の三本目、成長戦略は民間の投
資の拡大がなければ成功しないが、投資拡大につながる戦略(規制緩和、法人税率の引き下げ等)を打ち出す事ができるのか? 特に成長には消費の拡大が不可欠だが、賃金の上昇が認められるという実感
が出ない中で、円安に よる生活物価の上昇が先行する中で、消費の拡大が行え るのであろうか。
景気の拡大の実感を一般庶民が感じる事ができなければアベノミクスに対す
る期待は失望に変わる可能性がある。 景気の拡大には輸出産業の復活だけでなく地方経済の復活、中小企業の復活も求められるだけにこれからが正念場となる。?消費税率のアップの決定
消費税率を5%から8%にアップするか否かは、今年の10月に経済環境や諸々の条件を慎重に勘案して決定するとされています。
だが、消費税率のアップについては自民党内においても賛否両論が渦巻いて
おり、簡単には結論が出せない大問題です。 財政の健全化の観点からは、消費税率のアップは当然の事でありますが、過
去に3%から5%に上げた事による景気後退と自民党が選挙に負けるターニングポイントになった経験から、自民党内にも消費税アップ反対論は根強いもの
があります。 また、政府内にも看板であるアベノミクス実現の為には、消費税アップを送るべきとの意見があります。 このような中で、10月に政府はどのような結論を出すのでしょうか。?TPPへの参加 7月23日から日本も参加して、TPPへの参加内容の検討が始まったが、日本の出遅れ感は否めません。
米や牛肉等5品目の例外品目を日本は要求しているが、5品目総ての例外化が認められる事は大変難しいと思われる。 1〜2品目だけ認められた時、自民党内の一部でTPP参加反対の声が高まる事は不可避ですが、政府としても米国との関係からTPP不参加を表明できる立場にはない。
どれ位の例外品目を守れるか、交渉結果の成果次第では大きな政治問題となる。?原発再稼働問題への対応
福島の原発事故以来、日本の原発は関電の2基以外すべて運転停止の状態に 置かれている。
電力コストを考えた場合、原発の優位性は明らかだが、また福島の事故により問題点も国民の知る所になった。<原発の停止によるマイナス
>1.一年間で3兆円にのぼる石油・天然ガスの原材料輸入増コストの上昇を電力料金に上乗せされた時、産業界及び国民はこの負担増に 耐える事ができるのか。毎年の3兆円の経済収支の悪化と電力コストの上昇に国民が耐えうるものなのか。 2.火力発電所の再稼働は二酸化炭素の増大を招き、地球温暖化防止に逆行する事になるのではないか。3.産業立国である日本が高い電力コストの中で、競争力を維持していく事ができるのか。アベノミクス実現の為にも大きなマイナス要素となる のではないか。4.50基の原発すべてを停止する経済合理性があるか。5.太陽光発電や風力発電等の代替エネルギーの発電コストは相当高いものでまだまだ問題が残っている。
<原発再稼働の問題点>1.原発稼働による使用済核燃料の処理技術が確立されていない事が明らかになった。 この再処理技術が20年や30年で確率するか否かも定かでなく、世界中 の原発から出る使用済核燃料の在庫が世界中で問題になっている。
(地中深く埋めたといても半減するのに数万年かかる事から環境への影響 は誰も確定したことを言えない)2.原発廃棄の処理技術もまだ確立していない中で50年等一定年数経過の原
発をどう解体していくのか問題がある。 このような現状の中で、どのように原発を稼働し、または稼働停止(例:
50年たった原発はすべて廃棄か原発の新規増設は認めない等)の基準を 設けていくのか大変難しい問題である。?改憲議論の行方 日本の憲法を改正すべきか否かは、非常に難しい問題であります。 政府は、改憲の問題は時間をかけて検討していく問題であると言っている。 確かに憲法9条の問題は非常に重い問題であるが、憲法改正の法律的ハード
ルをどうすべきかとか、現在の国際関係を考えた場合の?集団的自衛権″等の 考え方の整理統一の必要性は高まっている。
現在の自衛隊法によると、相手方から攻撃を受けた時にしか反撃できない事 になる。イラクに派遣された自衛隊員の話によると、検問を行っていて相手が
武器を持っていて相手が武器を構えても、相手が打ってきてからしか打つ事が 出来ない事による恐怖のストレスは大変なものであったと言っています。
また、一緒に行動しているほかの国の軍が攻撃を受けていても、日本の自衛 隊は助け(攻撃)に行けないとの事である。
この事は尖閣諸島等の難しい国際問題の中で、相手国の艦艇から攻撃レーダー照射を受けても、相手方がミサイル発射しない限り、日本は攻撃する事が出来
ないことを意味し、また安全保障条約の基で米国海軍と協同行動をとっている時、米国海軍の艦艇が攻撃を受けても海上自衛隊の艦艇は攻撃できない事になる。
このような日本を取り巻く難しい国際情勢の中で、どのように議論を深め、 見解を整理統一し、必要な法律を改正していくかの問題がある。 ?靖国の問題
靖国神社の問題も中国や韓国の関係を考えた時、政府の対応は今後も難しい
対応に迫られています。A級戦犯の合祀、分祀だけの問題でなく、大臣の参拝、 特に首相の参拝問題は今後とも尾を引く問題と思われる。
A級戦犯の東條元帥の孫はアメリカ人と結婚しているという時代の流れの中 で、靖国問題がまだ日本外交のトゲとなっている点に外交問題の難しさがある。
?領土問題の行方 日本の領土問題として?北方4島の問題?尖閣諸島の問題?竹島の問題があ
る。 北方4島と竹島は相手国が実効支配している為ねばり強い交渉しかないのか もしれないが、尖閣諸島の問題は難しい対応に迫られている。
海洋資源の問題がなければ見向きもされない小さな島が、大国のメンツと海 洋資源の可能性から解決を難しくしているが、これに安倍政権がどう対応する
のか注目する所である。 相方譲歩するという選択肢を見つけにくいため、解決が難しい所である。 ?外部に敵なし→内部抗争に・・・
今回の参議院選挙に大勝した事によりねじれ国会は解消され、今後国会営
は スムーズにいくと思われる。しかし、この大勝により自民党内には派閥の復活や一度 落選した長老の復帰が見られ、これが政府の足を引っ張る内部抗争につながる恐れ が強くなってきた。
3年半、野党に下野していた時の反省を忘れ、内部抗争が表面 化するようなら、また国民の信頼は裏切られ、日本の政治は混乱の海に放り出され る事となる。
?求められる長期的国家ビジョン 企業経営において、長期経営ビジョンを明確にし、それを実現するために中
期経営計画を策定して目標達成に向けて実行するのは一般的となっている。 国家におても、長期的国家ビジョンを国民の前に提示してもらいたいもので ある。
アベノミクスが成功したとしても、資源が少なく国土面積が狭く、人口が減 少している現在の日本が再び世界のGNPの15%を占めて経済大国になるの
は大変難しい事と考える。 しかし、深夜でも女性が一人で歩ける?安全″とか空気や水の環境衛生面の
?安全″等、一定の分野で世界のトップクラスを目指し、もちろん経済面も含
めて世界のG8構成国として世界に誇れる、世界に一目置かれる、国民が納得できる国家ビジョンを提示し、その実現に努力してもらいたいものです。
選挙に勝利し、政権基盤が強固になった安倍政権の今後の課題を10項目に分けて書いてみました。皆様もこれらの問題について考えて頂き、どの方向性
が日本にとって最良か議論する一助になればと思っています。 2013年8月1日 私立探偵8提督801